写真絵本「まっくらレストランへようこそ」【写真家 林和美さん】
2019.06.28

自分ではどうにもできないものと向き合うこと。その先にあるもの。
こんにちは。こすぎさん運営局の田中です。
わたくし田中は、グラフィックデザインやWEB関係が専門なんですが、1年ほど前から「まっくらレストランへようこそ」という写真絵本の制作プロジェクトに参加しています。
これ↓
クラウドファンディングサイト「Redeay for」
病気の子供達や親に”想像する楽しさ”を伝えたい!写真絵本出版へ
今日はそのお知らせをさせていただこうかと思っているのですが…
その前に少し、娘の話をさせてください。
長女の出産後、ドキッとした呼び出し
2年前、第二子の長女を出産した時のことです。
1人目と同じ病院、自宅の近所。出産自体はそれなりに大変だったけれど、安心できる場所で「普通に」産めてよかったなと思って入院2日目の朝を迎えました。
長女は通常通りいろいろな検査を受けて、そして私の病室に戻ってきました。
すると看護師さんが「お母さん、先生がお呼びです」と私を呼びにきました。
少し、ドキッとしました。
診察室に行くと、先生は私に言いました。
「赤ちゃんですが、心臓の音に雑音があります。まだはっきりとはわからないですが、心臓に小さな穴が空いている可能性があります。」
その後、昔理科の授業で見たような心臓の絵をさらさらっと何かの裏紙に描いて、何だかいろいろな説明を受けました。
正直、何のことだかわからなくてぼーっとしたまま病室に戻りました。
先生から聞いた言葉を断片的に思い出してスマホで検索していたら、「手術」だとか「心臓を一度止めて」だとか、何だかただ事ではないような言葉がいっぱい出てきてパニックになりました。
お祝いにきてくれた家族や友人にもこの話をしてみると「親戚のあの子もそうよ」とか「知り合いの子もそうなんだって」と話してくれた人もいて、「あぁ、よくあることなんだ。そんなに深刻じゃないのかな」と少し安心しました。
それでも退院後、薬を出されたり、頻繁に検査をしたり、心配な日々が続きました。
私の娘は、心臓に穴が空いたまま生まれてきてしまう先天性の病気でした。
幸い、穴の場所が悪くなかったのと大きさが小さかったため、手術を受けたりだとか行動に制限が出るようなことはなく、一見健康な子と何もかわらずとっても元気に過ごしています。
けれど、今も数ヶ月に一度は検査をして経過をみています。
私はこれまで出産以外で入院したこともなく、大きな病気もなく健康体で生きてきました。
だから、恥ずかしながらそれまでは気がつかなかったんです。
自分ではどうしようもないものと戦うことの苦しさとか、それに寄り添う人の気持ちとか。
想像はしてみるけれど本当の苦しさはわからなかった。
娘の病気は、他のたくさんある病気に比べたら軽いものです。
同じ病気でももっと穴が大きく生まれてきてしまう子、手術が必要な子がたくさんいます。
いやでも病気と向き合わなければいけない子供や家族の気持ちは、もっともっと私の想像の範囲を超えていることだと多います。
けれど、娘の小さな体をみて、もしかするとこの体に傷がつくのかもしれない、苦しい思いをするのかもしれない、そう思ったらとても辛くて、最初に事態を把握した時は涙が止まりませんでした。
今、家族が笑顔で暮らしていられることに感謝しかありません。
どんなに辛い状況でも「想像の世界」は自由
なぜこんな話をしたのかというと、身近な人のお子さんも同じような病気を持って生まれてきたと聞いたことから始まります。
写真が趣味の私が、昔からお世話になっている写真家・林和美さんです。
林さんとは子供の年齢も近くて、よく子育ての話もしていました。
けれど、お子さんの病気のことはずっと知りませんでした。
ある時、林さんから「写真絵本を作りたいので協力してくれませんか?」と連絡をいただいたんです。
その絵本というのが「まっくらレストランへようこそ」。
まっくらレストランは、まっくら闇の中で「ぼく」の思い描いた大好きなご飯やおやつが何でも出てくるという不思議なレストラン。
「ぼく」が「ママの作るハンバーグ!」「弟とはんぶんこするドーナツ!」「家族みんなで作る餃子!」とリクエストすると、まっくらの中からそのメニューが現れます。
実はこのお話は、林さんと息子さんがいつもしていた遊びから生まれた物語。
夜、お布団の中にもぐって寝る前にする遊びだったんだそうです。
「まっくらレストランへようこそ!ご注文は何にしますか?」とパパシェフが聞くと(あ、林さんは男性です^^;)息子さんが好きなものを答えます。
お布団にもぐっているから周りはまっくら。だから「まっくらレストラン」。
当たり前のことかもしれないけれど、たとえ現実がまっくらでも、想像の世界ではなんでも好きなものが食べられるし、なんでも好きなことができるんです。
林さんのお子さんは、心臓に重い病気を持って生まれてきたそうです。
大きな手術もされて、心配な日々を過ごされました。
お子さんがたくさんの管に繋がれている姿、なかなか目を覚ましてくれない時間、そして、同じように病気と向き合う他の家族。
それを目の当たりして、自分にも何かできることはないか、と考えた林さん。
息子さんといつも楽しんでいた「まっくらレストラン」そして長年携わってきた「写真」を使って、病気と向き合う子供達やそれに寄り添う家族の力に少しでもなれたら。
その背景とコンセプトを聞いた時に、絶対にいいものを作って力になりたいと思いました。

チーム・まっくらレストラン
それから1年ほどかけて、チーム・まっくらレストランの一員として絵本を制作してきました。
そしてまさに今、この絵本を「届けたい人たちに届けるべく」支援を募っています。
絵本をよりたくさんの子供達へ届けるためには、個人の力ではどうしても限界があります。
もし、この絵本に興味を持っていただける方、林さんの思いにご賛同いただける方がおりましたら、絵本の制作支援を募っているクラウドファンドのページをご一読いただければと思います。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
クラウドファンディングサイト「Redeay for」
病気の子供達や親に”想像する楽しさ”を伝えたい!写真絵本出版へ
「想像すること」を伝えたいのは、実際は病気と向き合う子供だけではありません。
どんな子でも、大人でも、「想像できる」人は、他人にも優しくなれるはずです。
以前、取材で新丸子の話芸写さんにお話を伺った時にも強くそう思いました。
優しい人が増えて、優しい社会になってほしい、そんな願いも込められています。
ちょっと熱く語っちゃいました^^;
病気の話はいろいろとご意見があるかと思いますが、個人的な体験談として受けとめていただければ幸いです。
「まっくらレストランへようこそ」の制作支援は【2019年7月31日(水)午後11時まで】下記のサイトで受け付けております。
クラウドファンディングサイト「Redeay for」
病気の子供達や親に”想像する楽しさ”を伝えたい!写真絵本出版へ
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
「まっくらレストラン」が開店する日が訪れますように…。
(写真・盛谷嘉主輔/文・こすぎさん運営局田中)